[イレーネが置いた銀の短剣の意味を思えば余計に体が強張ったものの、ブリジットやゲルダ達のやり取りを聞けば緊張も少し収まって。
ミハエルを気遣う声が聞こえれば気にはなったものの、アーベルからどうした?と問われれば、うん、と頷いてゲルダの手を握ったまま口を開いた。]
あの、ね。私、黙ってたことが、あって。
私の目、他の人と違うものが、見えるの。
死んだ人の、最期の想いとか…正体、とか、そういうのが。
気味悪がられたり、嫌われたりするのが怖くて、ずっと、黙ってたの。
ごめんなさい。
[ゲルダ達は嫌わないと言ってくれた。
アーベル達のことも信じたいが、それでもやはり過去を思えば反応が怖くて、小さく震えながら謝った。]