[少し時間を遡る][中央ビルの一階で見かけた女に目を奪われたその直後には、その後を追って4階の食堂へ向かっていた][他の面々と一緒に席に着き、気づいたら珈琲を頼んでしまっていた][その場であったことはそれだけだ。ほとんど会話すら交わしていない][だが後になって、自分が他人の淹れた珈琲を抵抗なく口にしていた、という事実に気づいて、彼は愕然としていた]