――どうにか、って……[笑みを浮かべて涙が滲んだ瞳を覗き込まれる。 近い距離で伝わる言葉にじわじわと涙が浮かんで] ……っ、わ、わたし、が、いっても、かわらない、と思う……っ[ぐす、とすすり泣く。 甘い甘い声が嗄れた声に重なるように聞こえた。 操られている人と相対することをなんとも思っていなかったけれど、漸くその危険性を理解してじりじりと下がる。 ぱしゃん、と水音を立てて、廊下へと続く扉に手をかける。 その先に火の魔人がいたとしたら、泣いてるバンシーをみることができるだろう]