―北エリア・林―
[急激に持ち上がって行く視界。
その視界の端を、鮮やかな蝶の姿が横切った]
つっ!
[足が焼かれ、そして貫かれる感触。
新たな痛みが加わったが、しかし攻撃の動作は止まらない。
両足に残る最後の感覚で、巨人の掌を蹴り更に跳ぶ]
ずっと、考えてただ――
どんだけ無茶すれば、お前さんに届くか、ってな!
[相手の右腕を視界に捉え、鉄槌を振り下ろす。
重力に任せて、全身で回転しながら。
手応えは――あった。
落ちて行く鴉。
そして、娘もまた。鉄槌に引かれるように、落下を開始していた]