― 宿屋前 ―[ふぁ、と欠伸が漏れる口許に手を宛がう。旅人は滅多に訪れぬ村の宿屋の一階部分は平時酒場として機能しているのだけれど。酔った客が揉め事を起こしたと呼び出されたのは昨夜のこと。間に入り仲裁をして、生業のまま番をしていた。片付けを手伝い寝付いたのは遅く、けれど料理の仕込みや水汲みで起こされたのは常より早く]……ん。[手を上げて、ぐ、と伸びをする]