[叫びに気づいて集まった者たちに向けられるのは、無機質な天鵞絨。
昨日までは確かにあった、感情のいろは見えず]
……闇の眷族の牙により、見極める者は失われた。
[淡々と綴る言葉と共に向けられるのは――淡い、笑み。
緩められた襟元や、手首から見える朱の茨とも相まって、それは異様な様相を織り成す]
……終わらせなければ。
朱花宿せし『神の使徒』の名において。
……全てに、制裁を。
[闇の眷族に、ではなく、全てに、と。
紡がれる言葉の意図に気づく者はあるか。
砕けたこころを閉ざした茨は、そこから溢れた思いを糧に、狂った花を静かに咲かせて。
いっそ、穏やかとも言える微笑と共に、狂える茨はその棘を向ける先を探す。
狂気を咲かせるきっかけを作った――望まずして作ってしまった者の姿を。**]