─ 2階客室 ─
[エーファが様子を見に来てくれれば、熱でうるんだ瞳を向け、ビルケのための食事を頼むだろう。
残り物の野菜くずを柔らかくなるまで煮込んでほしいと。]
面倒をかけてごめんね、でも……。
もう、こんな…おばあちゃんだから…。
[自分のことが話題になっていると気づいて、顔だけを上げる白髪交じりの老犬は、寒さ厳しいこの時期を越せるだろうか。
ユリアンにとっては母とも姉とも思える存在だけに、離れて暮らす家族よりも心配で。
人間の風邪が犬にうつらないと知っていてよかったと心底思う。
そうでなければ、モリオンが嫌がっても、ビルケを暖かな広間で休ませてほしいと頼んでいただろう。]**