― 宿屋 一室 朝 ―
[ふっと独白が途切れたのは、クロエの声に反応したのか、
ぶち猫の鳴き声に反応したからか。]
嗚呼、おはようございます。
クロエさん。ツィンさん。
[一人と一匹に向けられた碧の眸は、動揺の一つもない。
淡々と紡がれる挨拶も、いつもと変わらない。
――それをクロエは、他に目撃した人がいたなら、
学者らしいと思うのか、異常だと思うのか、
そのどちらでもないのか。]
…――大丈夫ですか?
[言葉足らずな問いかけはクロエに。
しかし、彼女の視界から少女の遺体を隠すような、
そんな思いやりは学者には*ないのだけれど*]