ここ……じゃないな。
ここ…でもない。
[プレートの有無に関わらず部屋の扉の前で注意深く匂いを嗅ぎ、血腥さを色濃く漂わせる場所を探す。
何度かそれを繰り返した後、扉の隙間から漂う匂いに僕はピタリと足を止めた]
………ここだ、間違いない。
[足を止めた部屋の扉にはプレートが掛かっていた。
誰かが使っていると言う証明。
有事を考えて、ベルトに差した短剣の柄を握り、左手で扉をノックする。
返事は無い。
この扉の先に広がるものの想像をして、僕の心臓ははち切れんばかりに拍動した。
一度だけ深呼吸し、意を決してドアノブを掴み、扉を開ける]