─南の森・奥─
[がらごろごろ。
森の奥へ進むにつれて、鬱蒼と茂る木々に日差しは遮られ始める。
果樹の姿は減り、緑樹の姿が目立って来た]
匂い〜、こっち〜。
……わふっ!
[薄暗い中にありながらもやがて見えて来る見覚えのある後ろ姿。
背中にある渦巻いた尻尾を振りながら、喜び勇んでその後ろ姿に飛び付いた。
がらごろと台車の音が響いていたため、気配には容易に気付けたことだろう]
ごっしゅじぃ〜ん!!!
[雄牛サイズのまま前足を上げて飼い主であるイヴァンに飛び付く。
人型でありながら体格の良い飼い主は受け止められたか否か。
どちらにせよ、イヴァンにすりすりと頭を擦りつけることは変わりなかった]