[何度か視線を転じると、残りの足と腕が眼に入り。
最後に、ようやく頭の部分を見つけた]
……ゲルダ───。
[いつしか元に戻っていた虚ろな瞳が、軽く細められる。
人狼を探せると言った女性。
失いたくない人が人の手に掛かるのだけでも止めたいから名乗り出たと言っていた女性。
自分が襲われるのは覚悟していたらしい人。
昨日大切な人を失った直後襲われたのか、と心中で呟いた]
…結局、護れなかった上に自分も死んじゃったんだね。
[彼女の大切な人は人の手で死を迎えた。
人の手に掛からぬために行ったことは、効果を現さなかったのだ]