―回想/幼い日々―
……っ、ぐす…、ごめん…っ、ごめんね…。
[洞窟の中で、膝ごと身体を抱くようにして座り込み、
少女のことを思い出して、再び泣きそうになっていた時。
誰かの足音が近づいてきて、“おい、何してるんだ?”
と不思議そうに問う声が聴こえ]
―――…っ、あ…あっちに行って!
[追い払おうとしたけれど、
薄暗くなった洞窟の中に入ってきた男の子。
此方からは顔は分からなかったけれど、外の彼には、
泣きそうになった表情を、見られてしまったかもしれない。
何を話したのかは朧げだけれど]
“……一人で、泣くなよ”
[慰めてくれた言葉の響きは、耳に残っていた]