婆ちゃん、いつも多めに寄越すからさ
遠慮しないで食べても大丈夫だと思うよ。
[なんて言いながら自分でも皿を受け取って、ひょいと摘んで口に運ぶ。
先に手をつければ後の人も手を出しやすいかな、なんて考えて。
ちろりと指先を舐めながらノーラの方を見る。
一つ下のノーラと一つ上の彼女の旦那
自分も含めて年が近かったから、彼女たちの馴れ初めもよく知っていた。
結婚するというのもとても自然に思えて、誰からも祝福される二人だった。
「ユリアンも早くいい人を見つけろよ」なんて、笑っていたあの人はもういない。
早く元気になって欲しいけれど、こればかりは
「時間だけが解決してくれる物ですよ」と婆ちゃんが言うから
こうしてお菓子を勧めるくらいしか出来る事がない。]