― PC室付近廊下→1F校舎入り口 ―
[今度は足をとめなかった高峰を戸惑いつつも追いかけ。
どの教室を見ても暗く、どこにも人影は見えず。
PC室から離れれば校舎の中には二人だけしかいないようにも感じられて内心怯えながら先を行く背中を追いかけて。
そして階段を下りた先、学年ごとの下駄箱が並んだ向こうにある、校舎の入り口。
ガラス戸の向こうは灰色の曇り空とグラウンド、といった風情。
校舎が電気がついていないことを除けば日常でもありえる風景]
あ、先輩……って、え?
[そんなことをぼんやりと考えていたせいで高峰がさっさと扉に手をかけたのには反応が遅れて――だからこそ、続く高峰の言葉が理解できずに首をかしげた]
扉が開かない、って……鍵がかかってるんじゃ、ないんですか?
あ、そ、そうですよね、そんなの直に確認しますよね……
[鍵は内側から開け閉めできるタイプだからすでに確認はしていたようで、しゅんと肩を落として謝り――そしてようやく、扉が開かない、という意味を理解して得体の知れない恐怖を感じて小さく震えた]