― 大広間 ―[道を塞いだメイドが動く頃には既にアナスタシアの姿は無い。オリガは大広間の扉の内側で立ち尽くすのだけど――]あっ……[か細い声を漏らし、ふらり、よろめく。眩暈でも感じたのかそのままその場で膝をついてしまう。雨に打たれたせいか、他に理由があるのかオリガの身体は熱を帯びていた。アナスタシアが『ゲーム』の始まりを告げた時から『紅の宴』の理の中に組み込まれたオリガという駒。場を織りなす歯車の一つに組み込まれた娘もまた遠いとおい昔からの取り決めという枷を受ける]