[気付けば広間からは人の姿は殆ど消えていた。
それぞれに思うところがあるのだろう。或いは
誰を信じるべきか、と。
不安を抑えて笑みをくれるカルメンに、向ける表情は少し硬かったかもしれないけれど]
まぁ……「その時」が来たら、嫌でも何とかしなきゃいけないんだろうけど。
旅人の言葉を信じるなら、ギュンターさんは「光の者」だからね。
「場」が出来たのなら、それに囚われた役割を持つ者はその定めに抗えないらしい。
でも、カルメン……もし何かあっても、君は君だって事、忘れないでね。
[大丈夫だ、もう何も起きないと、そう思いたいけれど。
それが幻想だと言う事を男は「知って」いる。
だけどそれは面には出さず、今は不安を軽くしようと笑って]
俺は一度部屋に戻るよ。難しい事を考えるのは性に合わないし。
君も、少し気分転換をした方がいいかも。
[そう言って立ち上がると、一度伸びをしてから広間を後にする。*]