― 翌朝・教会近くの林 ―
[足が止まったその先にあったのは、自衛団長の体だった。
文字通り体だけしかない。首から上には何もなく、顔で判別することはできない。
けれど食い尽くされてはいないその肢体は間違いなく団長のものだった。
所々に残る食いちぎられた跡が、死を齎したのは獣の爪牙を持つものの仕業だと告げている。
野生の狼が隠れていられる環境ではない以上。それが示している事実は明確だ]
……ぅ。
[視るまでもなかった。瞳の色は僅かに黒味を増やしただけ。
これは人狼に襲われたものの死体だと、肌で感じて頭が理解して繋がった]