―自宅―[古い棚には薬草の瓶。引き出しの中には調合済みの薬。埃のない床も綺麗に片付いた作業台の上も赤色に汚しながら、僕は棚の奥に手を伸ばす。手前の瓶が倒れたが、気にはしなかった。隠していた鍵を掴み取って、もう一つの引き出しの前に立った。この中に何が入っているかは、妹にすら話した事はない。両親が死んで、この引き出しを封印した後、開けたのはただ一度きり。親友とも言える男を亡くした後だ。差し込んだ鍵を回した。かちりと音がする。]