……そっか。あのひと、も、大丈夫、か。[呟く声には、安堵の響き。そこに、人ならざるものを見つけずにすんだ、というものが含まれているのは気づかない──気づこうとしない。欠落した記憶──意図的に拒絶した過去が、人狼を見出す、という『務め』を恐れさせている事。かつて『導の聖歌の紡ぎ手』と称された青年は、そこから目をそらして一つ、息を吐き、それから]……ん?[改めて、聖堂の中を見回して。その異変に、気づいた]