―食堂―
身体を動かす仕事は向いてないとは思うかな。
坑道の中とか、良く怪我してたものね。
何度も怒られたっけ。
[外の街から来た男の子。狭いこの村ではだいぶ目立っただろう。
慣れない坑道を引っ張り回し、その度に怪我をさせ母に怒られる。
変わらないと思っていた子供の頃の日常――… 思い出すと自然と笑みが零れた。]
そんなもの?
外には出たことないものなぁ… 私。
男の子は、外に出て偉くなるんだって言うのが普通かと思ってた。
覚えてる? いつかは偉くなって宮廷にとか言って出て行ったリックのこと。
彼、今は領主様の護衛してるらしいって。
[運ばれてきた料理を時折口に運びながら他愛もない話を続ける。
変かはないけど、至福の時間と思わなくもない。
変わらない村でのんびりと。そんなことを考えながら暫くの間、雑談に興じた後で家へ戻るだろう**]