― 広場 ―[懐かしい呼ばれ方に目を瞬く。最後に会った時よりもっと女らしくなったのに、少年と変わらない格好で駆け寄ってきた頃の姿が重なって見えた]見習いの時期は仕方ないけど。少しだけ悔しかった。[もう少し早く聞けてたらせめて一目なり、と思った記憶が過ぎる]そう。纏めた休みが貰えたから戻っただけなんだ。まずは黒珊瑚亭で部屋を借りようと思う。[家は親を亡くした時に焼け落ちていた。昔のように教会を頼るのではなく宿に泊まる予定だと、広場の先を指差す]