[エリザベータがヘルムートの手に掛かった次の日は
ゲルダは名乗り出たにも関わらず無事だった。
なのに、今は――。
欠けたままのピースはたくさんあったけれど
それでも感じ取れる何かはあり
幼さの残る少女の頭でも思い至る可能性がいくつか考えられた]
あ、……っ
[御伽噺の通り一日に一人。
ゲルダの亡骸の惨さからそれが人の手でなく
牙もつ者の手に掛かったのだと少女は思ったから
御伽噺の通りであれば他に犠牲者はいないだろうか。
そう思いながらも自らの目で確かめるまでは不安で
少女は顔を上げて、音無くくちびるのみで少年の名を紡ぎ
その姿を翠の双眸が探し彷徨う**]