―前日―
[ヘルムートの進言は>>40、どこで聞いたのやら。
診られるというなら大人しく従っておいた。
面倒だからいい、とでも態度に出そうなら、友人がどう出るかそら恐ろしかったのもある。無駄に傷口広げるほどマゾくはなかった。
見据えた少女の瞳に怯えが見えると、目を逸らした>>47。
腕と顔以外に、少し痛む物を覚えなくはないが、それよりも、その方がいいと安堵する心の方が大きい。骨に染み付いている家業は脅えられてこそだ。血生臭い性分は変えられない。
かといって子供に冷淡になれる性質ではなく。
我ながら、矛盾していると胸中でぼやいた。
それらが全て片付けば、部屋に戻って何とか片手で着替えてベッドに沈んだ。
クロエが血塗れた服を取りに来たなら、持って言ってくれと言わんばかりに、机に脱ぎ捨てた衣服を指差しただろう。]