今、この部屋の高いところに登った猫はリロイ、といいます。
[リロイと呼ばれた茶白は、「なんかよう?」と言うように片目を開けたあと、気持ちのよい風に喉をならしながら目を閉じた。
幼い頃に拾った猫と同じ名を茶白につけているのは、この村の住人にはよく知られた話。]
[神父の「し」、については、それを聞いた母親から拳骨を食らい。
神父である伯父からは笑顔で勤労奉仕を頼まれたという。
……まぁ、悪がきによくある結果ではあった。]
……ところで、エーリッヒ殿は以前、こちらにいらしたことは?
[何故だか目の前にいる青年に、
19年前、行方不明になった幼馴染みの面影が重なった気がして、疑問を口にした。]