─ 『蝕』当日 ─
[ただの自然現象に不安を抱くなど、いつもなら考えられない事。
自分自身疑問に思いながら、それを追求することは出来なかった。
先生と、己を呼ぶ声が耳に届いたから]
ん?
あぁ、どうした。
…爺さんが?解った、今から行く。
[同居している祖父の様子がおかしいからと呼びに来た村人に付き添い、訪問して診察すれば不安による動悸だと解って。
薬を飲み安静にして、落ち着かぬ様ならまた呼ぶようにと指示している間にも同じように不安を感じた年配者、子供のいる村人が次々と自分を呼びに来る。
結局呼ばれた家を訪れるだけで一日が終わってしまい、自宅に顔を出すことも、
当初の予定に入っていた家への訪問もこの日は出来ず仕舞いになり。
だからアルビーネが先日会った後すぐに両親の元へ顔を出したことも、知らないままにこの日は終わった]