人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


下男 アーベル

狼にキスがしたかった――。


[まるで祝福を求めるように。
逃げないように強く頬に触れ、血塗れた赤い唇に、自分のそれを重ね合わせ、――――視界を塞ぎ、何も見えないようにした。

フォルカーはちゃんと覚えてるだろうか。狩りの際の言葉を。
「相手の隙を、チャンスを逃すな」と教えた事を。
覚えてなくても、忘れていても、死ぬ相手が変わるだでさして問題はないけれど。

自分のユメは叶ったのだし。]

ん……。

[そうして舌を割り入って、その牙の一本一本に舌を這わせた。
舌が傷つくのも構わずに、うっとりと、こびり付いた血を肉を舐めて味わっていた。]

(55) 2011/01/16(Sun) 23:22:57

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