─ どこかの林 ─
……いい加減……沈んどけぇぇっ!
[気迫の声と共に、右手のみで支えた太刀を横一閃に薙ぎ払う。
振り切った位置からくるり、下へと向かう弧を切っ先で描きながら前へと戻し。
タイミングよく柄を捉えた左手を基点に、上へ向けて一気に振り上げる。
斬り上げの二の太刀は斜めの一閃。
それは一の太刀を受けて動きを止めた、ちょっとばかし巨大すぎる上に爪の鋭すぎる熊を確りと捉え。
こちらが一歩、後ろに飛びずさるのに僅かに遅れて、仰向けに倒れた]
……っしゃ、いっちょあがりー、と。
『やー、さすがに梃子摺ったねぇ』
[ぴくり、とも動かなくなった巨大熊の様子には、と息を吐くと、肩に掴まっていた黒猫妖精が妙にしみじみと呟いた]
ま、仕方ねぇだろ……しばらく、符術は節約しねぇとならねぇんだし。
『……せやねー……』