― 1F校舎入り口 ―
[不機嫌な感情を後輩にぶつけたことを後悔しているような様子をみせる高峰は、小さく震える桜子の肩を宥めるように軽く叩き。
つげられる言葉に桜子もちいさく頷きを返した]
そ、そうですよね、まだ出られないときまったわけじゃないですし。
窓、も確認しないと……
[そして入り口近くの窓を確認するけれど、鍵は開いているのに溶接したかのように窓枠がサッシを滑ることはなく。
「ちょっと下がってて」という言葉とともに、下駄箱の清掃用ロッカーから持ち出した箒の柄で窓ガラスを割ろうとする高峰には驚いたようにまたたき。
けれど、木の棒でガラスを――それも男の人の力でめいっぱい叩いたのにひびが入る様子すら見えず]
――え、えぇ……うそ……
[盛大に割れるだろうと思っていたものの結果に呆然と呟きが零れ落ちた]