[次第に広がる、漣のようなざわめきの源へと足を向け、辿り着いた先に在ったのは死の臭い。声こそ出さなかったものの、口には手を当てて僅かばかり眉を寄せた。滅多な事では動じないとは言え、慣れた光景ではない。 途中、姉と、それを支える、彼女の幼馴染みの姿が見えた]ノーラ姉――……、エーリ兄、ごめん、よろしく。[自分にはその役目はないのだと、踏み出しかけた歩が止まる。それは、エーリッヒの役目でもないけれど。幾許かの距離を空け、背中に向けて呟いた台詞は、姉に届く事はなかったようだった]