―回想―
[フーゴーが結社の人だと言うのに、驚いたように瞬き。
口を挟むまもなく、皆が次々と喋るのをただ聞いている。
回復したらしいダーヴィッドの姿にほっとしていた所で、不意に自警団員がやってくれば怯えたような視線を向ける。
そして連れて行かれるダーヴィッド。
ソレを止めようとしたヴィリーが自警団員に殴られる姿。
あまりの驚きと怯えに動くこともできず、傍にいたクロエが震える手で腕をつかんでも、ただ呆然としていた。]
あ……
[クロエが駆け出して往くのが見える。
ドアの外の喧騒が収まり――ぎゅ、と瞳を閉じた。
これでは、まるで殺させるために助けたみたいじゃないか、と唇をかみ締める。
外に出て行く勇気もなく、倒れたヴィリーを運べるわけでもなく、ただその傍で立ち尽くしていればフーゴーとクロエが戻ってくるのが見え。]