―西エリア―
[鉄槌の慣性力に身を任せた一瞬、思考が澄み渡り瞳が現実を映した]
近……!
[既に首筋に届くほどに迫っていた、ユーディットの右手。もはや回避行動を取ることは出来ない。
これまでかと観念しつつ、両腕は変わらぬ勢いのまま槌を振り回す]
くっ……
[相手の手が僅かに狙いを逸れた。
それと気付くのと、鉄槌に重い手応えが乗るのは同時]
とった……!
[衝撃に吹き飛んで行くユーディットを横目に、自身もまた回転する勢いのまま地面へと倒れ伏す。
無論、すぐに起き上がった。体は重く、泥濘に沈む足を支える気力もなかったが]
オラの勝ち……だな……?