―前日/外― ――嫌な事件だねえ……[ほんとうに、と深い吐息を零す。 流れた赤は地面に吸われて黒くなっている。 それを眺めてやれやれと首をふった] すまんね、アーベル。 あたしはアンタを見捨てた。親父さんにはちゃんと怒られてやるさ。[生きて戻れてもそのときに殺されても仕方無いねえ、などと自己満足でしかない懺悔を呟き。 日が暮れる前には宿へと戻った。 ライヒアルトの怪我の様子などを本人やオトフリートに訊ねた後、『無理しないように』と釘を刺して部屋へと引っ込んだ]