─ 前日/自室 ─
……は。
[ようやく息をつけたのは、自室に戻ってから。
思っていたよりも張り詰めていた、というのが改めて感じられた]
……情けない、な。
[零れ落ちるのはこんな呟き。
気が逸ると一人で動きすぎるのは、自分の悪い所だ、とは、老尼僧にも言われていた事だが、それを改めて思い知った気分だった。
元より、あまり他者に気を許さない──許せない気質だから、というのもあるのだが]
……それでも、少しはマシになったつもりなんだけど。
[何かしら、共通の楽しみや感性がある、と感じたものには、気を許せるようにはなった、と思う。
先に、奏者からの手伝いの申し出>>50に素直に頷けたのも、その手が紡ぐ旋律に惹かれるものがあったから、というのは否めない。
申し出を受けた瞬間の、きょとんっ、と瞬いた天鵞絨を、向こうがどう受け止めたかはわからないが。
少なくとも、ありがとう、と言って笑えた──と、思う。多分]