― 森 ―じんろ〜な〜んているわけないさおおげさだ〜おおげさだ〜[楽天家のじいちゃんが教えてくれた歌を歌いながら、森の茂みから這い出て来たのは、まだ子供だった。]前よし!後ろよし!今度のは特別だ![鍋をかぶってショベルを担いで、完璧な仕事ぶりに鼻の頭を掻いてから、一仕事終えた子供は一目散にダッシュして逃げた。後には一見、何も無い。無いように見せて、じつはある。森に仕掛けられた大穴は、ひっそりと誰かの来訪を待ちわびている。]