[子供の部屋は覚えていた。
勝手に入り、寝台に子供を下ろす。
それから再び一階に降りれど、広間で為される会話に加わりはしなかった。
今は、まだ。
水を汲み取ったグラスと、ゲルダの用意してくれたスープと林檎をトレイに乗せて階上へ。傷を負った子供の手を洗い、包帯代わりにハンカチを巻く。
流石に、自身の腕に巻いていたものは使う気にはならなかった。
処置を終え、毛布をかける。
熱を抱いた身体は、布団など不要そうだったけれど]
……、何、してるんだか。
[冷えた室内。暖炉に火を入れる。
卓上に置いたスープからは、あたたかな湯気が立つ。
子供が目を覚ます頃には、冷めてしまうかもしれないけれど]
[可愛らしく象られた林檎の兎が、ぽつんと*佇んでいた*]