もう十五年、いえ、もう少し前になるのですが……アーヴァイン様……
アーヴァイン様は、アルカス、と言う町においでになったことはございませんか?
[そう尋ねる男の声は、少し緊張していただろうか。
その問いに主は暫し考えるような仕草を見せ、そうして、はっと気がついたように男を見る。
まじまじと、上から下まで視線を投げ、「君は…」と呟く]
ああ、やはりあなたでしたか!
そうです……私はあの時あの町にいた……あなたに助けていただいた者です。
[予想があっていたという安堵に自然と表情が緩む。
昔、故郷である町でとある事件が起こり、猜疑心から暴徒と化した住人に襲われたところを助けてくれた恩人。
居場所もわからず、故に礼をすることも出来ず今まで過ごしてきた]
ずっと、気にしておりました。
こうして、再会できて嬉しく思います。
本当に、ありがとうございました。
[そう言って、もう一度深く頭を下げた]