― 屋敷/玄関前 ―はあ、はあ…[風に追い立てられて走ったものだから、鳥のような翼を持たない旅人はすっかり息を切らせていた]いやはや、参った。[風と駆け足で乱れた髪とマントを整えようとして、旅人はふと手を止める]このままにした方が、同情してもらえるかな?[自分の思い付きに、にんまり笑って、旅人は、そのままの格好で屋敷の扉をノックした]