住人――なあ。いないんじゃないの。
っていうか、さすがに、あの人数が自分の家に運び込まれりゃ、気付くだろうし、
とうに知ってた、ってなら、記憶もないけどこんな所にいましたー、って摩訶不思議な出来事に関わってるってことだろ。まともじゃねーじゃん。
それにさあ、
[進みながらも、手身近な扉を無遠慮に開いてみる。
ヌックとでもいうのか、こじんまりとした食事スペースを確認して、そのまま扉を閉める。]
さっきから、物音一つしないし。こんだけ、ガチャガチャやってんのに。
……あ、多分、隣がキッチンかな。ヌックとキッチンって併設されてるもンだろ。
[人の気配はない、と、思う。ご立派なお館では、その感覚がどれほど当てになるか分からないが。
そんなことをこぼしながら、キョロキョロと辺りを伺いながら進んでいる内に、漸く彼女の奇妙な歩き方>>57に気が付いた。]