[その後、空気を破るように声色を変えて]
思った以上に長居をしてしまいました。
私のほうはこれで失礼させていただきます。
また、お時間があればその時に。
[そう言って立ち上がって礼をする。
主もそれ以上は引きとめようとせずに送り出して。
部屋を出て無意識に溜息をつけば、ずっと待っていたらしい使用人が目に入った]
ああ、すみません、お待たせしてしまいましたね。
私のほうは、書庫や客間の場所も判りましたし、もう大丈夫です。
こちらは書庫に戻りますので、あなたはどうか、ご自分のお仕事のほうへ。
[そう言われた使用人は頭を下げて立ち去ろうとして、そうしてすぐに戻ってきた]