― 屋敷/エントランス ―
[メイドからタオルを借りて纏う水気を拭ってゆく。
すぐに雨は止むだろうとその時は思っていたから
部屋を借りるでもなくその場に留まり雨音を聞いていた。
ちらほらと雨宿りに訪れる人をみて同じような境遇なのだろうと思う。
増えた>>62多い>>63なる声が耳にとまり所在無さげに視線漂わせた]
――……。
[窓から見えるのは視界を遮るほどの豪雨。
視線落とし手許の籠に掛けた手巾に指先を触れさせる。
父に頼まれたキノコなどの食材野草が入っている。
仕込みの時間を考えれば今から急ぎ帰ったとしても
今宵の夕食には間に合わない事がわかる]