……よしっと、いっちょあがりー。
[動かなくなった陸生大ヤドカリからは、生命力らしきものは感じられない。
複数カードを組み合わせる事で、文字通りの一撃必殺の構文を編んだのだから、そうでないと困る、とも言うが。
ともあれ、猫を思わせる仕種で未だ血の滲む指先をぺろ、と舐めた後、振り返るのは見知らぬ術師の方]
やー、助かったわ。
さすがに、あのレベルの構築は、瞬時じゃできねぇからなー。
『たすかりましたわー、ありがとさーん』
[軽い口調で呼びかけるのにあわせて、黒猫妖精がぺこりと頭を下げる。
こちらの世界に転がり込んでまだ一年過ぎるか過ぎないか、という青年とその使い魔には。
自己存在の特異性への自覚は、まだまだ緩かった。*]