それじゃ、お邪魔しましたっと。
[あまり礼儀のなっていない挨拶を残して、賑やかな家を後にする。
好きなようにと言った手前、付いて来るアーベルに厭う言葉をぶつけることはなかったものの]
さっきのが本音なら性根が悪いし、嘘なら素直じゃないな。
[どちらと取っているかまでは言わず、そんな台詞を投げた。
気怠さの表れか、会話なく並ぶでもなく、普段よりは少し遅い足取りで先を歩んでいたが、小屋に程近くなったところで抱えていた紙袋から飴玉とは異なる長方形の小さな袋を取り出して、背後に投げる]
約束破んのは嫌いだから。
[こっちからした覚えもないけど。
そう付け加え、相手が受け取ったかを見ることもなく、扉を開く。
*袋の中には、一本の石のついたペン*]