[ゲルダの淹れるハーブティーの良い香りが鼻腔を擽る。
身上書を書き終わると香りに惹かれるように視線が移ろうが
手にしたままの鞄が声を掛ける邪魔をした。
此方に気付いたエーリッヒの翠>>67に宿る途惑いに
少しだけ困ったような微笑みを浮かべる。
礼拝の度、顔を合わせる歳近い彼までも自分と同じような理由で
自衛団員に呼ばれたのだろうか。
複雑な思いを抱きながらひょことお辞儀して
近くにいた自衛団員の一人に声を掛けた]
あの、荷物を置きたいのですが――…
[空いている部屋なら何処でも好きに使うよう言われ頷く。
階段を一度見上げると手摺りを伝い一段一段ゆっくりと――
左足を庇いながらの其れは何処か不自然な動き。
二階に辿りつくと手前の部屋へと姿を消した**]