[光が収まったあと。
その中心に立つのは、だらんと腕を垂らして立つカルメン。
その表情は前髪で窺い知る事は出来ない。
そしてその前方。宙に浮くのは十字架。先程まで金色であったはずのその表面は今は塗り潰したような漆黒。]
…………アンチ・テトラ・グラマトン。
いざ開け地獄の門。ここに今希望は捨てられた。
その門を叩く者の名は、色欲者の魔王──アスモデウス。
今一時、地獄との経路を開かんと欲す。
[俯きぼそぼそと呟いていたが、その言葉に応じるかのように十字架が震え出す。
仮にその最中、オクタヴィアが何らかの攻撃をしてきたとしても、見えないバリアが攻撃を弾くだろう。]
──『開門』。
[そして、最後の言葉と同時。
十字架はバカンと分解し、カルメンの背後に再構成される。
そうして、十字架だった物が成したのは──4枚2対の漆黒の翼。]