[呆然と立ち尽くしていると、どうかしたのか、と背後に声がぶつかってきた。
振り返った先にいるのは、宿の主人。
出かけると言ったのに固まっているのを訝ったらしい]
……親父さん、なんか、いらないシーツかなんか、ない?
あと、急いで自衛団のとこに、報せ、行かんと。
[硬い声で、それだけ言って。
何があった、との問いに、無言で立ち位置をずらして玄関先の様子を見せた]
っとに。
誰かは知らんけど。
いい趣味、してる。
[色を失う宿の主人の様子に、低く吐き捨てる。
深緑の瞳には、いつになく暗く、真剣な光が宿っていた。**]