[抜ける剣、滲む紅。痛む傷を押さえながら男は短く息を吐く]
それ以外何ぞあるとよ。
……まさかおんなじ光で負けるとはのぅ。
[くく、と言う声は苦笑染みたもの]
『サン』のカードば持つおまはん相手に『ザ・ムーン』ば使こて勝てるか、そこん興味ばあったけぇ。
ヒトは無意識に闇を滅するにゃ光を使う。
これで勝ちおうたら、あん時の敗北ば打ち勝てるか思うとったんじゃが、無理じゃった。
[悔しげな素振りも見せず、存外明るい声で言葉を紡ぐ。仰向けの状態から起き上がろうとして、皹の入っていた仮面が左右にパカリと割れた]