[暫く考えた末、本でも読んで待つことに結論を持ってきた。その本は、学生時代取材を受けたことのある作家のもの。クロエの店でも扱っているので、新刊が出れば、なんとなく買って読んでいるのだった。静かな部屋に時折響く頁を捲る音。小さなテーブルの上には、先程まで学者の胸元を飾っていた花が、ちょこんと所在なく硝子コップに生けて在る。少女が目覚めたなら、名と恨みの理由を問うだろうが、思い出せないようであれば、少し考えた末、思い出すまで此処にいたらどうか?と*提案をするか*]