[あるべき場所にあるべきはずのものがない。細い喉から漏れるのは引き攣るような音。手が離れ、持ち上がっていた布団が落ちてまたその人の姿を隠した。] う そ 。 エーリッヒ、なの ? どうして、無い、の……[顔は、頭は、何処に――。そう思うと同時、弾かれたように辺りを見回す。家具の陰、寝台の下、クローゼットの中と探してみるが見つからない。]