―繁華街―
[駆け出し行くのは繁華街。
二人の手を離れ、大人が通るには少しきつい、細い路地の間をくぐる。
ゴミ箱、新聞、なんのその。
背中のうさぎは、きゅうくつそうに壁に手足をぶつけるが、おかまいなし。
その先、高い建物に囲まれた隙間のような場所。やっと少し楽に動ける所に出ると、とてとて隅っこに走ってゆく。]
かやにいちゃ、みずねえちゃ、ねこ。
[隅っこには、古びたダンボールの中に、生まれて間もない子猫がみぃみぃ。(09)匹ほど。
統一しない背中の色は、立派な野良の証。親猫は、幸い出かけて留守のよう。
子猫をちょんちょん、撫で回し、暫く猫と戯れる。]
このこ、もってかえったら、ままに怒られたの。
[黒い子猫を指差し、ちょっとしょんぼりしながら言って。
うさぎリュックの背中から、小さな牛乳パックを取り出し、置いてあった皿にだばっと入れておいた。
ちょっとこぼれた。]