[何か匂う。ということに、気付いてしまった。動きが鈍る、口元を押さえる。それでも、匂いの強いほうに向かうのは、現状の確認の為。――奥へすすめばすすむほど、その匂いはきつくなっていた。そして一番奥の部屋、扉が僅かに開いていた。スリッパの音が耳障りだ。と歩きながら思う。心臓が嫌な予感に脈打つ速度を上げる。はっと、浅い息を吐いて、その先を見ようと、腕で扉を押しあけて]